SUPから落水したらどうなる?風速4〜5m吹くと何秒で10m流されるのか知ってほしい
SUPは軽く、とても流されやすい乗り物です。ジワジワと人気が出始めているアクティビティ“SUP”(スタンドアップパドルボード)。SUPに乗ってヨガやツーリング、釣りなどができるとても素晴らしい乗り物で人気が出てきている一方、流されて帰ってこれなくなったりする事故が増えているのも事実です。
SUPは楽しい反面、どれだけ危険な乗り物なのか、知ってほしくて今回の記事にしました。
風は4〜5m。たまに7m吹く悪条件下での検証
- 風速4〜5m。風は海から吹くオンショア
- 最大瞬間風速6〜7m
- 中潮の下げ潮
場所は東京湾奥にある稲毛ヨットハーバー。SUPやウインドサーフィンが盛んな場所で、常にショップの方がいて、スクールもやっているとてもオープンなエリアです。
私自身、初めてSUPを始めたポイントであり、秋には連日通ってSUPフィッシングで青物をやシーバスを狙っているポイント。
東京湾奥は、波が穏やかで、特にこの稲毛ヨットハーバーは、堤防に囲まれた流れも穏やかな比較的“安全”なポイント。この日は風速4〜5m、たまに6〜7m吹く悪いコンディション。ゆったりとSUPをするどころか、沖に出るには結構危険な状況。
SUPサーフィンや、ラフコンディションの練習をする上級者の方だけが出せるような海況です。
海は予想だにしない風が吹き出す事が結構あります。そのような状況を想定して、もしもあなたがSUPから落水した時、SUPはどれだけ流されていってしまうのか?を検証しました。SUPに乗っていて、風だけでどれだけ流されていってしまうかの参考にもなりますので、最後まで見てみて下さい。
SUPが流される速度の検証方法
検証方法は、オレンジの10mのロープを体に付けて実際にボードから落ちます。そのまま、私がSUPから何秒で10m流されきるのかを測りました。
泳いでボードに何秒で戻れるかも検証(パドルあり、なし)
パドルを持って落水、パドルを落として落水の2パターンで、SUPに何秒でで戻れるかも検証しました。結果的に、状況にもよりますが、パドルを持って落水して、泳いでSUPに戻るには、かなりの体力と遊泳技術が必要という事が分かりました。
最悪、パドルは捨ててボードの確保、後からパドルを拾いに行くというパターンも考える必要がありそうです。
SUPが流される速度の検証結果
実際にSUPから落ちて、10mのロープが出切るまでの時間がこちらです。
流された時間 | 泳いで戻れた時間 | |
1回目(パドルなし) | 55秒 | 20秒 |
2回目(パドルあり) | 1分2秒 | 50秒 |
風速7m時 | 35秒 | 困難 |
【1回目】10m流される時間→55秒
風速4〜5m、最大瞬間風速6〜7mの海況でSUPが10m流される時間は1分かかりませんでした。ここから、パドルを持たずに泳いで戻ってみます。
パドルなしで戻れた時間20秒
両腕が空いてクロールができるので、比較的早く戻る事ができました。次は、パドルを持って落水。パドルを持ったまま泳いで戻ってみます。
【2回目】10m流される時間→1分2秒
1回目より10m流されるのは少しだけ時間がかかりました。それでも、ほぼ1分で10m流されています。では、パドルも持ってボードまで泳いで戻ってみます。
パドルありで戻れた時間50秒
パドルを持ってボードまで戻るのは、パドルなしでクロールで泳いで戻れた時間の倍以上の時間が必要でした。そもそもまともに泳ぐ事ができないので、実際に沖で落水してしまったら、パドルを持ってボードに戻るのは難しいかもしれません。
風速7mの時にも検証した
今回の検証の1年前に、常時風速7mは吹いていた海況で検証していた動画があります。風速7mはとても危険です。SUPはあっという間に流されてしまうので、パドルを持って泳いで戻るのはほぼ不可能でした。
13m流された時間35秒
この時使っていたロープの長さは13m。今回検証で使ったロープが10mだったので、それより長いです。それでもあっという間の35秒でSUPは流されていきました。では、パドルを持って戻ってみます。
パドルを持って泳いで戻るのはかなり困難
パドルを持ってボードに戻る事はできませんでした。この状況が実際に沖で起きてしまったら、パドルは一回捨てて、ボードに戻る事を優先した方がいいかもしれません。
動画でも見られます
検証結果から感じた事
今回の検証結果から、どのような対策が必要なのか考えました。
- リーシュは絶対必要
- 道具積む前にSUPに慣れまくる
- 海を、波、気象を知る
①SUPにリーシュは絶対に必要
過去の事故事例で、リーシュを付けないで沖に出て落水、何とか人だけ陸地に戻り、ボードを漁師さんが船を出して回収に行ってくれたという話を、実際に漁師さん本人から聞いた事があります。ボードは2マイル沖にあったそうです。2マイルは約3.7キロ。これだけ流されるのを想像するだけでゾッとしますよね。
リーシュは絶対に着用しましょう。落水してもボードをたぐりよせて復帰する事ができます。SUPは予想以上にどんどん流されてしまうので、絶対にリーシュは着用しましょう。もし忘れたらSUPで海に出るのはやめる位思ってもらった方がいいです。
リーシュは命綱です。絶対に着用しましょう。
②SUPの練習をしまくろう
SUPは慣れればすぐ立つ事ができます。1日みっちりやればすぐに立てます。問題は、全くSUPの練習もせずに沖に行ったり、釣り道具を積んで釣りに挑戦してしまう事です。
SUPは、漕ぎ方や方向転換の方法、流されやすさなど、沖に出る前に学んでおくべき事がたくさんあります。SUPを動かす感覚を知ってからじゃないと、道具をたくさん積んで沖に行くのはとても危険です。ひっくり返って釣り道具を落としてしまう事もあります。
漕ぎ方ひとつでもSUPのスピードは全く違ってきます。
とにかくSUPに慣れる。最初は誰かと一緒にSUPを始めましょう。今では全国のショップでSUPの体験をする事ができます。ケガ、事故を起こしてしまう前に、実際にSUP体験をしてから自分のスタイルを目指してみて下さい。
③海、波、気象を知る
SUPは自然相手のアクティビティです。急な風や急な波が起こる事なんてしょっちゅうです。どれだけ天気予報アプリを見まくっていても、予想できない悪天候に見舞われてしまう事もあります。
できるだけ、海、波、気象を学びましょう。
- どんな波が危険なのか?
- 地形によって違う波の割れ方
- 海面を見て分かるこれから吹き始める風
など、相手の事をできるだけ知る事が大切です。時期によって急に吹き出す危険な風もあります。知識があれば危機管理ができます。少しずつで大丈夫なので、気象について学んでみて下さい。
Q&A
座って漕ぐカヤックスタイルなら必須です。立って漕ぐ場合は、パドルリーシュはおすすめしません。パドルを色んな方向に動かしてバランスを取るからです。リーシュを繋いでしまうと、パドルの動きが制限されてしまうので、逆にバランスを取りにずらくなります。
私の場合、SUPを漕いでいる時はロッドにリーシュを繋ぎ、漕ぐのをやめてルアーをキャスティングする時に、ロッドに繋げていたリーシュを一時的にパドルに繋いでいます。パドルにもロッドと同じダイワの尻手を付けています。
予備パドルは持って行くスペース的な余裕があればあった方がいいですね。私はできるだけ装備を少なくしたいので持っていっていません。最悪、サーフィンの様に手で漕いでもそれなりには進むので、サーフィンスタイルで代用しています(それなりにサーフィン経験あれば結構進みます)。でも、海域によってはサメも普通に泳いでいるので、精神的にも予備パドルがあるとより安心ですよ。
安全にSUPを楽しむために
SUPは海の魅力を最大限に感じる事ができる最高に楽しいアクティビティです。その魅力に取り憑かれ、近年ではどんどんSUPを始めている方が増えています。その一方で、漂流や衝突などの事故が増えているのも事実です。
事故はいつどこで起きるか分かりません。
できるだけ事故を起こさない、怖い思いをしないよう、リーシュは絶対着用、できる限りの安全対策をして、いつまでもSUPを楽しんでいきましょうね😊