SUP事故。目の前で帰還不能になっていったSUP。起きかけた漂流事故。
SUP事故で一番多いのが漂流です。先日、周りに誰もいなければ漂流事故につながっていたであろう方を、カヤック、ゴムボートの方と一緒に救助をしました。
漂流事故になりかけたSUPを救助した日の映像
こちらの映像が、実際に漂流事故になりかけだったSUPの方を、カヤック、ゴムボートの方たちと助けた日の映像です。
この日の天気予報と実際の海況
当時の天気予報は、アプリによって多少差はあったものの、ほとんどの予報は同じ。
- 朝に風は残るものの、止んでいくいく予報
でした。実際現地に着くと、そこまで風は吹いてなかったのですが、連日吹いていた南風の影響で、少しSUP釣りをやるには出にくいサイズのウネリが残っている海況。セットの間隔を見て待ちさえすれば問題なく出せそうなのですが、戻って上がる時には少し難しい感じのサイズでした。
実際この日、予報にはなかった強めの北風が9時頃から吹き出します。
このポイントは北風が吹くと、出艇エリアから離れていってしまうので、風に逆らってSUPを漕ぐ必要があります。体感にして風速4m。釣りをするのにはやりにくい風で、SUPによっては前に進むのにそれなりの体力としっかりとしたスキルがないとツライ風が風速4mです。
救助されたSUPの方の状況
釣りをしていて遠目にSUPを漕いでいる方は見えていました。
でも…。あれ…?
釣りをしながらたまにその方を見ると、人がいない時があったんです。
何度かSUPから落水も、再乗艇できていた
最初は、「SUPフィッシングしてる人が他にもいるな〜」くらいの感覚でした。最初は異変を感じずそのまま私もずっと釣りをしていたのですが、ふと見ると…、
SUPボードの上に人がいない時があったんです。
あれ?人がいない?さっきまでいたのに。
おかしいなと思い、しばらく様子を見ていると、人がSUPに這い上がってくるにが見えました。
良かった。いたのか。
と、この時は結構気温も上がってきて暑かったので、海に浸かって涼んでいるのかな?と思っていました。しばらく釣りをしながら様子を見ていたのですが、落ちてはまたSUPの上にいて、また落ちてはの繰り返しをしているようでした。
風に逆らってほとんど進めていなかった
しばらくすると、風が吹き始めました。体感にして4mくらいの風です。風速4mは、SUPフィッシングをするには少しやりにくい風で、1日を通して4m吹く日に私はSUPフィッシングはしません。
この日、天気予報にはなかった強さの風速4mの風が吹き始めました。
私は結構沖の方にいましたが、海も少し波立って来て、エントリーポイントから遠ざかってしまう風なので、岸に近いポイントで釣りをしようと戻っていました。
すると、先ほどのSUPの方が、しゃがんだ状態でひたすらと岸に向かって漕いでいるのが見えました。遠くからでも分かったのですが、あまり進んでいませんでした。
意識はしっかりとあり話もできる状況
岸に向かって漕いでいる途中、カヤックの方がいたので、釣果や雑談と今のSUPの方の状況を話しました。10分位話している間に、SUPの方が少し離れて目の前を通って行ったので、もう大丈夫と思い、私ももう一度追い越して岸近くで釣りを始めました。
すると、遠くにSUPの方の近くにカヤックとゴムボの方がいたんですよね。
明らかに様子がおかしいと思い引き返してみると、SUPの上に人が仰向けになり、カヤックとゴムボの方に引っ張られていました。
完全に体力を消耗してしまい、おそらく船酔い状態にもなってしまっていたのだと思います。しかし、意識はしっかりあり、素人目ですが、かなり危険な状況という訳でなさそうでした。
このままSUPの方を協力して引っ張り、救助をする事となります。
実際にSUP、カヤック、ゴムボで行った救助の方法
このひ、同じ海域で釣りをしていたのは、私を含めカヤックの方とゴムボの方(2人乗り)、そして救助されたSUPの方。偶然にも、全員が目の届く範囲内で釣りをしていたため、全員がSUPの方の異変に気付き始めていました。
カヤックの方がロープで牽引
私と話をしていたカヤックの方は、私が岸際に向かっていった後もその場に残って釣りをしていました。SUPの方が通過後、ボードの上に仰向けになってしまっていたという事で、声を掛けて牽引する事になったそうです。
この時牽引に使ったのはアンカー。
カヤックの後ろからSUPの先端に繋ぎ、カヤックを牽引したとの事。その後、ゴムボの方が合流します。牽引はカヤックよりエンジン付きのゴムボの方がパワーはあるので、ここでゴムボの方が牽引を変わってくれました。
しかし、プロペラに巻き込まれないようかなり慎重に前進しないとダメで、なかなか思うようにスピードが出せない状況でした。
近くの浜への誘導
ちょうどこの時間帯、海はちょうど干潮を迎えている時でした。気になっていたのが、朝出艇する時、そこそこウネリがあり、上がる時はもっと波が割れているのではないか?という事でした。念の為、本来上がる浜の近くへ先回りし状況確認すると、案の定、波が割れていました。しかも、普段は波が割れていない結構沖のエリアでサーフィンできる位の波が割れています。
牽引しながらこの浜から上がるのは危険と判断し、ゴムボの方とカヤックの方に、近くにある別の浜から上がる事を提案します。
幸い、私はその近くの浜から何度かSUPフィッシングで出艇をしていたので、なんとなく地形は把握できていました。ここの浜は、季節によって海藻がびっしり生えているポイントで、ゴムボのエンジンに絡む可能性があったので、もう一度カヤックの方が牽引を変わる事になりました。
そして、カヤックの方を誘導、安全に全員で浜に上がる事ができました。
今回の漂流事故の原因?悪かった事
今回の、起きかけたSUP漂流事故は、いくつか悪い条件が重なって起きた事だと思っています。私が実際に感じた良くなかった条件を説明していきます。
予報にはなかった強風
釣りに行く前は当然色んなアプリで風と天気チェックをすると思いますが、この日は午前中穏やかな予報で、午後からは南風が吹き始める予報でした。
しかし、実際吹いたこの日の風は、朝まずめの後に強めの北風でした。
強めの北風はどのアプリででも予報にはなく、漕ぎ続けないとどんどんエントリーポイントから離されていく風が吹いてしまいました。
風波がまとまってウネリとなった
この日の前日まで、3〜4日間、ずっと南風が吹いていて、風波がずっとこのポイントに押し寄せている状況でした。そして、この日、ピタッと南風が止み、穏やかな北風が吹きウネリがまとまり、パワーを帯びながら割れていく状況でした。
干潮時間が重なって波が割れ出した
干潮になると、基本的に波は割れやすくなります。ちょうどこの日は干潮時間も重なり、河口の砂が溜まった地形のエリアにまとまった南ウネリがヒットして波が割れる状況でした。
実際、サーファーの方もエントリーして来ていて、サイズにしたらモモ〜コシ。セットは腹位ありました。このサイズは、SUP、カヤック、ゴムボも、岸からエントリーも帰還も難しくなってくるサイズです。
SUPで漂流事故を起こさないために
SUPの漂流事故は色々な悪条件が重なって起こる事が多いです。
- 予想できなかった天候、海況
- スキル不足
- 自分だったら大丈夫という慢心
私もSUP始めたての頃、風に流され別の浜から上がった経験があります。漂流事故にこそ回避はできたものの、そこまで至った経緯は、まさに上記の3点が原因でした。SUP事故で一番多いのが、帰還不能という漂流事故です。漂流事故を起こさないために、以下の点を気を付けてもらえれば、少しでも漂流事故は少なくできます。
現場第一。恐怖を感じたら引き返す
SUPをする時、必ず天気予報は見ると思います。今日は風も穏やかそうで気持ちよくSUPフィッシングができそうだ!とワクワクしながらポイントについてみると、意外と風が吹いていたり、ウネリが入って波が激しく岸に打ち付けていたりする時が結構あります。
そのような時は、思い切って諦めましょう。
今その場で見て感じた天候、海況、風が最新の状況です。もしあなたがこの風や海況で海に出したら危ないと肌身で感じたのなら、思い切ってSUP釣りは諦め引き返しましょう。
SUPの基本スキルを常に向上する
前に進まない。方向転換もできない。
初めてのSUPはわからない事だらけです。基本の漕ぎや、SUPの扱い方がわかっていないと、SUPフィッシングをするのはとっても危険です。ただでさえ風に流されやすいのがSUPで、いきなりボード1枚に道具をたくさん積んで身動き取るのに制限かけてしまうSUPフィッシングを始めてしまうのは危険すぎます。
SUPフィッシングを始める前はもちろん、SUPフィッシングに慣れてきたとしても、常にSUPの基本スキルの向上を目指しましょう。特に漕ぎ方、ボードの扱い方、SUPはとても奥が深い乗り物です。常にたくさん練習する事が大切です。
常に体力作りをする
SUPの上では、動力は自分自身です。
あなた自身の体力がなくなってへばってしまえば、あとは風と潮に乗って流されてしまうだけ…。
SUPは全身運動です。特にSUPフィッシングは、SUPを漕ぐ距離もとても長く、海の上にいる時間もとても長いです。太陽の光に常に当たり続けたり、風に逆らって漕ぐシーンがたくさんあり、常に体力は削られていきます。
SUPフィッシングは、常に変わる自然の変化に、あなた自身の体ひとつで対応していかないとダメなんです。
そのためには、体力が必要です。自然が相手のSUPフィッシング。海に負けない体力、安全に帰って来れる判断力を鍛えておきましょう。
気象について学ぶ
海の表情は常に変わります。予報にはない風が吹き出す事はザラにあり、海の上で急に吹き出す強い風はとても怖いものです。
釣行前は様々なアプリで天気予報を見ていると思うのですが、100%天気予報あ当たる事はなかなかありません。
気象を学ぶ事は、自然を相手にするスポーツにおいてとても大切。海の上にポツンといる時に、危険を回避するには自分の的確な判断だけです。
季節ごとに吹きやすい風の特性や、強い風が吹き出す前触れ、雲の変化など、何か起きる前には、自然は表情を変えます。その表情の変化に気付く事が大切で、こうなったらこうなるかも…。という予想ができる事が大切です。
気象については、私はこの本から学びました。サーファー目線の本で、風と波についての気象がとても分かりやすく書かれているのでおすすめです。
異変を感じたら声掛けする
周りに誰かがいる時、異変を感じたら声を掛けましょう!
今回私は起きかけたSUPの漂流事故を目の当たりにした時、SUPから何回か落ちているけど、再乗艇できているし、漕げているから大丈夫かな?と思い、最初異変を感じた時に声を掛けられませんでいた。
流されていたり、疲れて漕げなくなっている方本人は、助けてと周りに声を掛けにくいものです。あなたが誰かの異変を感じたら、ぜひ声を掛けてあげてほしいです。あなたから声をかけると、危険にさらされなくなる可能性があり、起きかけた漂流事故が回避できる可能性があります。声を掛けて大丈夫ならそれでOKです。異変を感じたら、とりあえず声を変え合いましょう。
流されてしまった本人の方は、周りに助けを求めましょう!
海の上では声をあげて周りに声が届かない事があります。最近のライフジャケットは、ホイッスルと言って、音を出すための笛が装備されている物が多いです。声が届く範囲に人がいなければ、ホイッスルを鳴らしましょう。「助けてほしい」という意思表示が何よりも大切です。周りに人がいない場合、海上保安庁に助けを求めましょう!
安全にできるだけ長くSUPを楽しもう!
SUPはとても手軽に楽しめるスポーツですが。手軽さが独り歩きしてしまっているのが現状です。簡単に組み立てて手軽に海に出られるから、ネットで安いのを買って、釣りの装備を積んで沖に行ってみよう!という安易な考えが広がってしまっています。
SUPの練習を全くせず、安いインフレータブルSUPでSUPフィッシングをするのはとっても危険な行為です。
まずはとにかくSUPの練習をしましょう。そして、ちゃんとしたボードを買いましょう。SUPそのものに触れるなら、まずはSUP体験をしましょう。SUPフィッシングするならインフレータブルよりハードタイプがおすすめですが、様々な事情でインフレータブルしか使えない場合もあると思います。
最低限釣りでおすすめできるインフレータブルSUPの事はこちらの記事で紹介しています。
>>>ちゃんと始めるならこの2本!!初めてのSUPフィッシングで選びたいインフレータブルSUPはこれだ!
釣りで使えるおすすめのハードSUPの事はこちらの記事で紹介しています。
>>>おすすめの3本!釣りでもツーリングでも、初めてのハードSUP選びはこの1本で間違いない!
ではでは、今日もこれからも、楽しく安全にSUPを楽しんでいきましょう!
疑問点や質問あれば、SNSでも答えられますのでぜひご覧ください🐟
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